2010年04月07日

学校警備員、継続ピンチ 大阪府の防犯助成終了へ(産経新聞)

 平成17年に大阪府寝屋川市の小学校で起きた教職員殺傷事件を受け、府が全国に先駆けて導入した小学校の防犯対策に関する助成事業が最終年度に入り、市町村側に、22年度限りで警備員配置をやめる方針を打ち出す動きが出ている。財政難の中、市町村単独事業としては維持が困難という事情がある一方、一部では、住民側に事業に対する否定的な意見もあるという。有事に備えた学校の安全はいかに守られるべきか、関係者は頭を悩ませている。

 □駆け込み整備

 「防犯対策はもちろん大切だが、人的警備の取り組みは、市の単費だけでこれまで通りにというのは難しい」。羽曳野市教委の担当者は苦渋の表情で語る。

 同市ではこれまで、府の助成金を使って市立小全14校に警備員を配置する一方、市単独で校門のオートロック化やインターホン整備を実施。助成終了を見越し、新年度に入って防犯カメラの設置も駆け込み的に始めた。担当者は「助成終了前に、抑止力を高められるだけ高めたい」と話す。

 寝屋川の事件や、13年に大阪教育大付属池田小で起きた児童連続殺傷事件を受け、学校の防犯対策に関する取り組みは全国的に広がった。文部科学省によると、全国の学校のうち、警備員の配置は19年度で12・8%、防犯機器の整備は69・6%で行われていた。

 ただ、大阪府教委によると、先進地の大阪でも、昨年6月現在で小学校全体の約4割にあたる247校では防犯機器の整備が進んでいない。自治体側が府に助成継続を求める動きもあるが、独自での事業継続は困難という見方を示す自治体が少なくないのが実情だ。

 □賛否両論

 一方、防犯対策のあり方については、住民の間で異論もあるようだ。

 児童連続殺傷事件があった池田市では21年3月、市立小のPTAが警備員配置の存続を求める署名を倉田薫市長に提出したが、倉田市長は「保護者の中にも賛否両論あり、柔軟な発想で安全体制を整えたい」と回答。同年9月以降は、各校張り付き型から校区内の巡回方式に切り替えた。市は「街が安全ならば学校も安全という発想で巡回方式にした」としている。

 別の市の担当者も「地域住民の中にもさまざまな意見があり、バランスが難しい」と打ち明ける。

 警備員配置をめぐっては「『いつ起こるかわからない出来事に対し、それほどの備えが必要か』『巡回方式の方が効果がある』といった異論も少なくない」という。

 □地域の力

 だが、学校現場などには、警備員配置の意義を訴える声もある。

 寝屋川市に隣接する枚方市では、17年度以降、民間の警備員を雇うのではなく、地域住民有志が来訪者への対応や児童への声かけに取り組んでいる。

 市は保険料を負担する一方、住民有志は、1校あたり4時間で約1500円という安価で引き受けている。「人的配置があった方が臨機応変に対応できる」と、市立桜丘小の五十嵐哲雄校長。同校には防犯カメラもあり、職員室にモニターが置かれているが、教職員が常時チェックすることは不可能だ。

 桜丘小校区では、登下校時にも地域住民が通学路の見回りを自主的に行っている。「人の目による見守りが一番効果的。地域全体で学校を見守ってくれている」と市教委。同校区での取り組みは、一つのモデルケースにもなりそうだ。

【用語解説】寝屋川教職員殺傷事件と防犯対策

 平成17年2月、寝屋川市の市立小で、卒業生の少年=事件当時(17)、後に懲役15年判決が確定=が学校に侵入し、教職員1人を刃物で殺害、2人に重傷を負わせた。府は17年度から3年間の緊急対策として、政令市を除く市町村が府内小学校に警備員などを配置する際、経費の半額(上限年80万円)を補助する事業を実施。20年度まで延長し、21年度からは防犯カメラの設置などにも使える交付金を1校あたり80万円交付する措置を講じてきたが、22年度末に事業期限を迎える。

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2010年04月06日

<雑記帳>小雪さんが新作映画PRで表敬 福岡(毎日新聞)

 昭和30年代の福岡の炭鉱町を舞台にした映画「信さん・炭坑町のセレナーデ」の主演女優・小雪さんが30日、PRのため福岡市役所を表敬した。

 筑豊をはじめ九州各地の産炭地が撮影に協力。ロケ先で熱い九州気質に触れた小雪さんは「東京と違い、人と人が近くて、人の愛情を感じる」と満面の笑顔。

 「昭和の炭鉱町の魅力を再発見させてくれる」と、試写会に足を運んだ地元の人々の評判も上々。小雪さんのCMでハイボール人気が復活した例もあり、地元では町おこしにつなげたい?

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2010年04月02日

菅家さん無罪確定 冤罪の構造、暴けぬまま(産経新聞)

 菅家利和さんに無罪が言い渡された。判決では、当時のDNA型鑑定の信用性を否定したうえ、虚偽の自白に追い込まれた原因にも触れた。再審の重要な目的である「早期の名誉回復」も果たした上で、ずさんな科学鑑定と、かつては「証拠の王様」と言われた自白に頼る捜査のもろさが改めて浮き彫りにされた。

 冤罪(えんざい)の証拠となった捜査段階のDNA型鑑定について、(1)再鑑定との相違(2)データの読みづらさ(3)それを支える画像データの欠落−を根拠に信用性が否定された。「科学的に信頼されている方法で行われたと認められない」として、当時の鑑定技術の稚拙さを断じた。

 科学捜査の走りとなった足利事件のDNA型鑑定について信用性が否定されたことは、同時期に発生し同様のDNA型鑑定によって有罪が確定、死刑が執行された福岡で女児2人が犠牲になった「飯塚事件」の再審にも影響を与える可能性がある。

 判決は、取り調べ時の状況や、調べを受ける人の性格などの要素で、自白が「作られる」危険性にも言及した。

 菅家さんが虚偽の自白に至った原因については、「(取り調べた)検事にDNA型鑑定結果を告げられたことが、最大の要因」と指摘。「当時の取り調べの状況や強く言われると反論できない菅家さんの性格」などを理由に挙げ「自白は新聞記事の記憶などから想像をまじえ供述した」と認定した。

 また、1審公判の間に行われた別の事件に関する取り調べでは、菅家さんの弁護人に連絡がなく、菅家さん本人にも黙秘権を告知していないなど、違法性が浮かび上がった。

 誤判原因の一端に光が当てられる一方、菅家さんの名誉回復を目指す再審公判には限界も見えた。

 当時、菅家さんを取り調べた警察官やDNA型鑑定を行った技官、裁判官らの証人尋問は断念され、判決でも「虚偽の自白」を見抜けなかった構造に言及はなかった。

 「なぜ菅家さんが犯人とされ、捜査の対象となったのか」。その疑問も解消されないままだ。

 今後、公表されるであろう最高検や警察庁の検証結果がいかに判決内容を反映し、深く掘り下げられるかを注視しなければならない。今回の判決と検証結果から捜査当局や裁判所がどのような教訓を導き出すのか。それができなければ、菅家さんの失われた約18年に報いたことにはならない。(是永桂一)

 ■誤判究明、国民が議論を

 木谷明・法政大法科大学院教授(刑事法)の話

 裁判長の謝罪は、大変率直で好感が持てた。短い言葉だったが、裁判所の誠意が伝わったのではないか。

 弁護側が求めた誤判原因の究明は、謝罪以上に重要だが、完全な究明には至らなかった。警察、検察、裁判所は協力して原因究明に取り組み、足利事件で虚偽の自白を生んだ取り調べについても、全面可視化の方向で議論をするべきだ。

 とはいえ、裁判員制度が始まり、市民が冤罪の可能性がある裁判に関与する危険性がある時代。冤罪の誤判究明は、国民が関心を寄せて、議論するべき問題である。

 ■第三者の調査が有効

 村岡啓一・一橋大法科大学院教授(刑事法)の話

 取り調べには、無実の人が虚偽の自白をせざるを得ない構造的な危険があることが明らかになった。宇都宮地裁の判断は、自白をした菅家さんの責を問うもので教訓にもならない。

 再審で虚偽の自白の実態が分かったのに、自白をさせた捜査側の原因は見ておらず、「なぜ無実の人が虚偽の自白をするのか」ということを解明できなかった。

 裁判所は旧来の視点を転換できていない。法曹三者以外に一般の人による独立した第三者委員会で調査することが有効だろう。

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